開催期日・場所 | 平成25年7月13日・14日 / 東神楽町「森のゆ ホテル花神楽」 |
事業内容 | 基調講演(厚労省太田真実専門官)行政説明(北海道・札幌市)研究会講演(北川副会長)見学会(FHはせがわ) |
事業規模 | 8ホーム44名 厚労省・北海道・札幌市他15名 計59名 |
大会1日目
8ホーム44名が参加し、来賓として大場顧問、厚生労働省 太田児童福祉専門官、北海道 野沢主幹、旭川児童相談所 萩野弘幸所長・丸田主査、道北双葉里親会 藤瀬和寿会長・横山事務局長が見えられた他、一般参加者や子どもを含めて計59名の参加となった。
岩松副会長より開会宣言が行われ開催された。初めに長谷川会長より当協議会の経過や今大会の主旨、北海道の状況などの挨拶があり、続いて来賓挨拶として厚生労働省の太田専門官、旭川児相の荻野所長、道北双葉里親会 藤瀬会長が挨拶された。
基調講演は「ファミリーホームに期待するもの」と題して厚生労働省 雇用均等児童家庭局家庭福祉課 太田真実児童福祉専門官に講演して頂いた。前半は、社会的養護の現状として全国の里親やファミリーホーム、関連施設の状況について、また、虐待問題や障害の有る児童の増加などこれからの支援に対する課題について、さらに、児童養護施設の小規模化については、家庭的養護はあたりまえの生活を保障するものであり、大舎制の施設からグループホームを増やしながら里親やファミリーホームに委託を進めていく計画について説明された。ファミリーホームの課題と将来像に付いては、将来的な目標か所や運営面の補助などについての説明の後、「社会的養護の子どもの養育は、地域全体で取組む」「実親との関係(実親子の交流・実親への支援・実親との協働などが必要)」「子どもとの別れを想定して(家庭復帰・養子縁組・不調・自立)」の3つを「ファミリーホームに期待するもの」としてあげた。
基調報告は当協議会副会長の社会福祉法人麦の子会北川聡子総合施設長が「アメリカボーイズタウンにおける里親支援システムから学ぶ」と題して講演した。
麦の子会の歩み、自らの里親としての経験、また法人としてファミリーホームの設置した経緯などの話しの後、コモンセンスペアレンティングとの出会いと取組、さらに今年の5月、コモンセンスの発祥の地アメリカボーイズタウンを訪問し、養育が難しい子どもが、70のファミリーホームで養育されている現状をつぶさに視察した時の状況報告があった。
特に、里親を支援する仕組みについて、一家庭の里親に6人の子どもが預けられ、その里親家庭を一人のコンサルタントが24時間体制でサポートしている事。そのコンサルタントを評価指導するエヴァリューションでは、家庭的生活になっているか、その子ども独自の宗教を認めているかなど、最初は週1回の評価を行い、その後も年に1~2回評価をする。
また、子どもからの大人の評価や現場の子どもの声が全部上まで届く、オープン化された非常に良いシステムであった。
医療的なケアを行うナショナルリサーチホスピタルでは、心理療法に力を入れて薬を極力使用しないメディカルモデルとなっており、出来るだけ早く退院しファミリーホームで生活する事を目標としていた。
ボーイズタウンでは、常に学ぶ文化を作る事やアセスメントをしっかりする事を説明された。
子ども達に質の高い支援を行っていくためには、トレーニングとコンサルテーションと評価の三つが良い形で循環しシステム化する事が重要であり、そのことが次世代の社会的養護を担う人材を育てることに繋がっているとの感想があった。
その後、麦の子会の概要と事業内容について、各カウンセリングや父母の活動などの心理相談支援、送迎の充実やショートステイ・ヘルパーの利用、医療との連携など家族生活支援ついて説明があり、さらには社会的養護の必要な子ども達が地域とのつながりを大切にして暮らしているとの報告があった。
行政説明については北海道保健福祉部 子ども未来推進局 野沢修一主幹より「北海道における家庭養護の状況」について説明があった。
里親の登録数は道内475組、札幌市は204組であり、新規登録は32組あるものの、同数位の登録取り消しがあり結果的に近年は横ばいの状況となっている。課題としては、里親による虐待や里親同士のつながりが乏しくなっていることなどがあり、里親支援として里親サロンの開催やレスパイト等の充実に取り組んでいる。
ファミリーホームの現状と課題としては、帯広と函館の児童相談所管内は未設置であること、道の里親への委託率が高いため入所児童の確保、力量のある里親や社会的養護に関わるノウハウを持つ社福やNPOでなければ運営が難しいことなどが課題としてあげられた。
また、道の管轄のファミリーホームは児相管内各1か所は設置したいとの考えや、被措置児童等虐待の状況などについて説明があった。
最後に北川副会長から、来年度の本研究大会開催については、日本ファミリーホーム協議会の全国研究大会を8月2・3日に札幌で開催するため、併せた開催とすることを報告し閉会した。
18時半から開催された交流会は、各ホームの子どもたちも参加しにぎやかな会となった。研究大会では語られなかった、ホームの課題や悩みなど同じ立場ならではの意見や質問など話し合われた。
終了後も深夜遅くまで二次会場では活発な議論が本音で話し合われ有意義な会となった。
大会2日目
「ファミリーホーム はせがわ」にて見学会が行われた。参加されたホームの方々は、生活の場を見せて頂きながら、暮らしの様子を垣間見る事が出来た。中でも収納や子どもの安全のための手作りの階段柵など日々の生活環境の工夫が、子どもを主体的に考えた養育の参考になったとの意見も出ていた。前日から遊んで仲良くなった各ホームの子ども達は、見学中も庭で一緒になって遊んでいた。
短い時間ではあったが各ホームの養育者がホームを見学しながら、互いに日々の生活の事など、気の付いた事を話し合う機会が持てたことは、非常に有意義であり今後の暮らしや養育の中に活かして行きたい、との声が多かった。
その後、希望者で旭山動物園に行き楽しいひと時を過ごし大会の全日程が終了した。